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2025-06-11 22:04:00

**鎌倉ハイキングリトリートの記録**

 

 

2025年5月21日、鎌倉で開催されたマインドフルネス・ハイキングリトリートに参加しました。

このリトリートは、禅とマインドフルネスをテーマにしたイベントを開催する「ZEN2.0」という鎌倉発祥のコミュニティの主催であり、今回は、ベトナムの著名な禅僧ティク・ナット・ハン師の思想を受け継ぐプラムビレッジから来日した尼僧とともに、鎌倉の山を歩くという貴重な経験でした。

 

ヨガを続けていると、呼吸や瞑想といったボディワークを超えたものへの関心が自然と深まります。

多くの人が単なるエクササイズ以上の魅力を感じ、心身の静けさに爽快感を覚えることが、ヨガに没頭するきっかけとなるのでしょう。

瞑想と座禅がよく似ていることもあり、インド発祥のヨガを実践する中で、同じくインドで生まれた仏教への理解を深めたいと考えるヨガ愛好者は少なくありません。

 

結果として、このリトリートは素晴らしい体験となりました。

新緑の鎌倉は平和で静かであり、あらゆるものが調和し、美しく感じられました。

鎌倉は、源頼朝が幕府を築いた頃には決して平穏な土地ではなかったでしょう。

京都の華やかさとは対照的に、鎌倉は武骨な東国の武士たちの町でした。

その時代、貴族的な仏教とは異なり、庶民や武士にも受け入れられる新しい仏教が広まりました。

そして、鎌倉時代には臨済宗や曹洞宗の禅宗が導入されます。

禅と鎌倉、そしてマインドフルネス――頼朝が「いい国をつくろう」と考えたかは定かではありませんが、現在の鎌倉の穏やかさを目にしたならば、きっと満足したことでしょう。

 

ベトナムのティク・ナット・ハン師も臨済宗の僧侶でした。

今回のハイキングリトリートは建長寺からのスタートでしたが、建長寺が臨済宗の寺院であることを知り、「なるほど」と納得しました。

プラムビレッジで著名な日本人尼僧「シスター・チャイ」さんとも初めてお会いしました。

横浜出身の彼女は、幼少期に鎌倉を訪れた思い出を懐かしんでいました。

私自身も、三浦半島で育ったことをふと思い出し、チャイさんとの共通点を見出しました。

海の見える山の空気感が、確かに懐かしさを呼び起こします。

 

鎌倉の里山を約10㎞歩くという、健脚向けのハイキングでした。

しかし、道は踏みならされ、下草もなく、歩きやすいコースが整備されていました。

「自然に見えて実は人の手が入っている」と感じたことを、昼食時に参加者と共有しました。

すると、チャイさんは「私たちは皆、誰かが整備してくれた道を歩いている」と話し、「ティク・ナット・ハン師は『難しい経典を探して読まなくても、すでに良いものが準備されている』と言っていた」と紹介してくださいました。

 

仏教哲学は高度で抽象的な学問です。

以前、曹洞宗の高学歴僧侶でありテーラワーダ仏教の修行もされた方に、自分の考えを伝えたところ、「それ、どのくらいの深さで言っているの?」と一蹴されたことがありました。

その経験から、私は仏教の経典を読み込んでいるわけでもなく、その理解度では太刀打ちできないことを痛感しましたが、偉大な僧侶や仏教研究者たち、ティク・ナット・ハン師などのおかげで、難解なサンスクリット語の経典を自ら翻訳して読み解かなくても、すでにマインドフルに生きる実践が整えられているのだと理解できました。

 

ハイキングのゴール地点は、頼朝が戦死者を弔うために建てた寺の跡地でした。

そこには、彼に追い詰められた弟・義経も含まれていたといいます。

頼朝もまた人の子であったのだと、少し安心しました。

今は土台だけが残る寺の跡地も、静かな公園として人々に憩いの場を提供しています。そこで参加者同士で円座になり、温かい交流の時間を持ちました。

 

有名な曹洞宗僧侶・藤田一照さんも参加され、藤田さんのアイデアで、全員で手を数珠つなぎに合わせる合掌の写真を撮影しました。

「合掌は一人だけの世界だけど、皆で手を合わせる方がよい」と、藤田さんは微笑みながら話されていました。

 

その言葉から、かつてタイ・チェンマイの寺院で参加したヴィッパサナー瞑想の体験合宿を思い出しました。

そこで僧侶は「瞑想修行は個人的なものである」と明確に言われ、参加者同士の交流や意見交換はなく、各々が沈黙の中で修行に向き合う時間でした。

そして、師の言葉は印象的でした――「ヴィッパサナーの実践は、世界中どこにいてもできる。ここに戻ってこなくても、家で実践しなさい。」

その合宿は貴重な時間でしたが、「修行は個人的なものである」という言葉こそが、大乗仏教と南伝のテーラワーダ仏教との違いを示していると感じました。

 

また、ティク・ナット・ハン師の故郷ベトナムは、大乗仏教とテーラワーダ仏教の両方が交差する稀有な土地だったということも、チャイさんが話してくださいました。

数年前、私はフエを訪れました。

あるベトナム女性が「フエはスピリチュアルな町」と話していたことを思い出します。

確かに、静かで穏やかな雰囲気が漂っていました。

 

鎌倉での体験は、あまりにも美しく、心に深く刻まれるものでした。

「つわものどもが夢のあと」――芭蕉が義経の最後の地、平泉で詠んだこの句が、ふと浮かびました。

 

取り留めなく書いてしまいましたが、軽いボディワークと呼吸法、ハイジ・ロッジの「心身安定、リラクゼーションの為のヨガ」、ロッジ内で開催しております。

また、ロッジを飛び出し、八ヶ岳の森の中でのハイキング・ヨガリトリート「ピクニック・ヨガ」も、ぜひご参加くださいませ。

fujimikogen@heidi-lodge.com

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